-日本と海外の脅威動向を分析した「2014年第2四半期セキュリティラウンドアップ」を公開-

正規のWebサービスの信頼性を脅かす攻撃が続発

~止まらない不正ログイン、国内被害アカウント数が過去最大~

2014年8月19日

トレンドマイクロ株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長 兼 CEO:エバ・チェン 東証一部:4704、以下、トレンドマイクロ)は、日本国内および海外のセキュリティ動向を分析した報告書「2014年第2四半期セキュリティラウンドアップ:狙われるインターネットの根幹、問われる企業の信頼」を本日公開したことをお知らせします。
2014年第2四半期セキュリティラウンドアップ全文: http://www.go-tm.jp/sr2014q2?cm_sp=Corp-_-sr-_-2014q2

2014年第2四半期(4月~6月)セキュリティラウンドアップのサマリ

2014年第2四半期には、正規サービスの提供元を狙う攻撃を数多く確認しました。ECサイトやSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)など、Webサービスのログインアカウントを不正に乗っ取る行為が顕著にみられました。企業のWebサイトを悪用する攻撃では、CDN(コンテンツデリバリーネットワーク)を改ざんしたり、インターネット広告の配信システムを悪用したりすることによる不正プログラム配布事例が確認されました。CDNの配信元サーバが改ざんされると、そのサーバの内容をコピーする多数のサーバに影響がおよび、被害の範囲が広がる恐れがあります。
攻撃に悪用されることは、正規サービス自体の信頼性を脅かす事態です。ユーザ自身の対策に加えて、Webサービスを提供する事業者側の対策も急務であると言えます。

1.    止まらないWebサービスアカウント乗っ取り。国内の被害アカウント件数が過去最大
2014年第2四半期には、計60万件以上のWebサービス用ログインアカウントが不正に侵害されたことが公表されています(※1)。トレンドマイクロが集計を開始した2013年第1四半期から最も規模が大きく、前四半期(2014年1月~3月)と比較すると約10倍になっています。ECサイトやSNSなどが攻撃対象となっており、個人情報の漏えいや換金性の高いポイントの窃取などの被害につながることが懸念されます。SNSでは、乗っ取られたアカウントからその友人・知人に対し、詐欺を目的にしたなりすましメッセージが送られた事例も確認されており、攻撃者の狙いが金銭に向かっていることが読み取れます。

●グラフ1:国内の主な不正ログイン被害アカウント数推移(※1)

※1 公表データを元にトレンドマイクロが独自に集計(2013年第2四半期~2014年第2四半期)。

2.広範囲に影響を及ぼす、CDNの改ざんによる攻撃が国内で初報告
2014年5月には、Webアクセスの負荷分散や冗長性を担保するCDNのサーバを改ざんし、不正プログラムに感染させる事例が国内で初めて報告されました。CDNは、インターネット上のサーバのコンテンツを複数のキャッシュサーバにコピーするという仕組みを持つため、元のサーバが改ざんされると、内容をコピーしている他のキャッシュサーバにも被害がおよび、結果として被害が広範囲に拡大する可能性が高くなります。実際に、改ざんサイトから誘導される不正サイトへ、2014年5月16日~5月31日の期間で国内の9万8千件以上のIPアドレスからアクセスがあったことを確認しました。
また、インターネット広告の配信システムを悪用してアドウェアをダウンロードさせる事例も国内で確認されています。これらWeb上のコンテンツやサービスの提供・配信元を狙った攻撃が、今後増加していくことが懸念されます。


3.   狙われる日本のオンライン銀行ユーザ。改ざんされた正規Webサイト経由で感染
2014年第2四半期は、オンラインバンキングの情報を狙う不正プログラム「オンライン銀行詐欺ツール」の国内検出数が、当社の観測史上初めて全世界で1位となりました(※2)。オンライン銀行詐欺ツールに感染すると、金融機関の正規のWebサイトにアクセスしているにも関わらず、偽の画面が表示されて情報窃取を試みます。特に、オンラインバンキングに加えてクレジットカード情報も狙う機能が搭載されている「VAWTRAK(ボートラック)」は、国内で5月~6月に検出台数が急増しています。また、ワンタイムパスワードを突破する自動不正送金機能を備えたするものも確認されており、今後も引き続き注意が必要です。
オンライン銀行詐欺ツールの感染経路として、改ざんされた正規のWebサイトを経由するケースが数多く確認されています。「怪しいWebサイト」に近づかないなどのユーザ側の注意だけでは防ぎきれないのが現状で、Webサイトを運営する事業者が自身のサイトの信頼性を担保すべく対策に取り組む必要があります。

●表1:オンライン銀行詐欺ツールの国・地域別検出数割合の推移(※2)

※2 トレンドマイクロによる調査(2013年第2四半期~2014年第2四半期)。

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