第26回SMILE PROJECTレポート

みなさん、こんにちは。第26回トレンドマイクロ スマイルプロジェクト参加レポートです。大阪営業所の萩村がお送りします。 今回は弊社社員9名で参加させて頂きました。私自身、震災発生からずっと東北の方の為に何かをしたいとずっと思いながら4年と8ヶ月が経過し、ようやく行動に移す事が出来ました。当時、東京で震災発生直後からのニュースで津波だけで無く、火災も発生している東北の映像を見ていて、心から辛く、何日かテレビを消した思い出が有ります。その津波と火災両方が襲った、気仙沼大島を中心に今回はボランティアをさせて頂きました。

初日昼頃に一関から気仙沼に入り、昼食後気仙沼図書館でボランティアをさせて頂きました。震災の影響で損壊を受けている図書館の建て直しが決定した為、一度蔵書を持ち出すのですが、その持ち出す本のホコリを落とし、ページに風を通す作業をさせて頂きました。非常にシンプルな作業ながら一冊、一冊の作業は中々進みません。やはり、こういった作業には人手がまだまだ必要で被災地の皆様の生活が通常に戻るまでのお手伝いは継続していかなければならないと改めて実感する機会となりました。また、本には本としての価値が当然有りますが、津波に限らず、火災など万が一が有った時の為に、貴重な本をデジタルアーカイブしていくなどITを使った支援という事も今後必要になっていくのでは?と思わされました。 気仙沼図書館には弊社会長夫妻から移動図書館を寄贈させて頂いていますが毎回10冊ずつ借りられるご夫妻がいらっしゃるなど、皆さん移動図書館の巡回を楽しみにしてくださっているという事を移動図書館の運転手さんから伺いました。とても綺麗で新車のような状態で使って頂いている移動図書館を見ながらこれからも一冊一冊の本が、現地の方が震災前の日常を取り戻すきっかけや小さなお子さんの夢や希望を育む事に繋がっていってくださればと、心から願っております。 ボランティア後、地元の方にも参加頂き、美味しいお酒と新鮮なお魚を中心に懇親会を実施し一日目を終えました。

二日目は気仙沼本土から大島へ。渡る途中、フェリーから見えた高い防波壁が印象的で、景色へ対する影響防波壁による減災効果、などなんとも複雑な心境を抱きました。 大島へ渡ってからは、2チームに分かれてのボランティア作業へ。1チームはカキ養殖業さんのお手伝いをさせて頂きました。カキ養殖用の網についたフジツボ、貝殻などを高圧洗浄機とゴムハンマーで一つ一つ取り除く作業のお手伝いと、カキを出荷するためのビニール袋への商品ラベル貼り。 現地の方と一緒に作業をしながら、震災時の話だけでなく、こういった作業がおいしいカキを養殖するためにいかに大切なのかなど、いろんな話をお伺いしました。またカキ養殖用のイカダにも船で連れて行っていただき、この場所がなぜカキの養殖に適しているのかなどを教わり、改めて自然との関わりについて考える機会となりました。 私、含んだもう1チームはワカメ養殖業さんのお手伝いをさせて頂き午前中はワカメの種糸を挟み込む綱の修理と巻き直しをさせて頂きました。こちらの綱の巻き直しも30メーターくらいの縄を広げてから、破損箇所を直して、再び巻き直す簡単そうに見えて一人でやろうとすると途方も無い作業だった為、複数人でのお手伝いが必要な作業でした。 お昼休憩にワカメチームも牡蠣チームの方に向かい、蒸し牡蠣とムール貝をご馳走になったのですが、本当に美味でした。今年の牡蠣はここ何年かで一番良い出来との事でしたので、ぜひ気仙沼大島の牡蠣を購入して頂ければと思います! 休憩後、牡蠣養殖業のお母さんのお話を聞かせて頂きましたが、牡蠣の加工場や養殖イカダなど何もかも失った状態から、息子さん達の尽力でようやく回復してきた。というお話を伺わせて頂きました。「息子達は本当に良くがんばったと思う。」と仰った際の柔らかい笑顔が印象的なのと、視線の先に広がる海には何枚もの養殖用のイカダが滔々と流れる波に浮いていて、被災当時の映像を想像するのも難しいほど美しい光景が有りました。ニュースで見ていたあの状況からここまで復興するのにどれほどの苦労が有ったかと思うと、言葉を失いました。 午後はワカメチームは綱の巻き直しの続きの後、船の船底についた貝やフジツボを除去してペンキを塗り直す作業を実施させて頂きました。目標は日が沈むまでにやり切る事という事で、普段会社で働く同僚と貝殻、ペンキまみれになりながら体を動かし、目標通り日が沈むまでにやり切るという、普段の仕事では得られない達成感も頂きました。 最終日は一部メンバーは早朝よりワカメ養殖業さんのご厚意で船で釣りに連れていって頂き、朝食からヒラメのお造りを楽しませて頂くサプライズから始まりました。朝食後、気仙沼へ移動し観光コンベンション協会の方ご同行の元、被災地域を回らせて頂きました。 すがとよ酒店では店主さんにお話を聞かせて頂いたのですが「新しい生活へ向けて少しずつ前進し始めている。」という事を聞かせて頂き、こちらでも前進への期待が見えて安心をいたしました。一方でここから鹿折エリアを経由して、南三陸町に向かって行ったのですが至る所が嵩上げの為の土の山だらけで、まだまだ復興の途中であるという現実をまざまざと見せつけられました。時が止まったままの高校校舎や電車の線路跡等今もあの時のまま、という場所が散見されました。 南三陸では現地で石鹸事業を起こした石鹸業者さんと合流し、お話を聞かせて頂きました。震災二週間後に福岡から現地にボランティアで入られた結果、都度都度来ているだけでは本当の意味での復興支援は出来ないとご決断され、特に南三陸においてボランティアによる支援が薄く人口流出の多い、20~40代の若い人達が地元で働けるように事業を起こそうと決意されて、高級石鹸の事業を立ち上げられたとの事。その行動力や、事業へ対する分析力や知恵もさることながら、他の為に、東北の為に自身の生活基盤までも移して尽力される姿に尊敬の念を抱きました。

三日間を通じて、感じた事は報道では現地の状況はどんどん見えづらくなっていますがまだまだ現地の方々の以前の暮らしの状況に戻るまでには時間と、多くの人手による支援が必要だという事を痛感いたしました。その為、募金も重要ですが"現地に入り、体を動かし、手伝う。"という事を"継続し続ける"事が大切だと痛感しました。 また、現地の方から「少しずつ良くなってきている」というようなポジティブな言葉を伺えた事が本当に嬉しい事です。ボランティアというと、困っている人を、困ってない人が助ける。というようなイメージになりがちですが、今回のプロジェクトを通じて現地の人から私達が沢山の優しさや、人間の強さを教えて頂いた、そんな印象でお世話になった気仙沼大島の皆様に心から感謝しております。 継続は力なり。誰かが困ってたら助ける、当然の事を当然に続けて行きたいですね。

活動年月日: 2015年10月30日(金)~11月1日(日)